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護身術を習う: クラヴマガ最初の4ヶ月間の体験

6時間前

読了時間:15分

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グレーディング証明書を受け取る護身術の生徒


護身術を習うことを決意した理由


4か月前、私は自分自身や周囲の世界の見方を変える決断をしました。自分を守る術(わざ)を身につけようと決めたのです。


それまで、私は武道の経験がまったくありませんでした。格闘家でないのはもちろん、子供の頃に空手を習ったことすらありません。完全にゼロからのスタートでした。


何年もの間、護身術を習うという考えは頭の片隅にありました。興味を持ち、ときどき武道教室をネットで調べたりしましたが、最初の一歩を踏み出す勇気がありませんでした。忙しすぎる、体力が足りない、自分には戦いのクラスなんて無理だと自分に言い訳していました。


しかし、その迷いは私が襲われた日に終わりました。見知らぬ人に顔を殴られ、私は全く抵抗できませんでした。体が固まり、何もできなかったのです。その瞬間、私は動揺し、自分の無力さに怒りを感じました。現実の対立に直面した時、自分には身を守るための手段が全くないと痛感したのです。


その出来事の後、私は解決策をネットで探しました。記事を読み、動画を見て、AIに「初心者に最適な護身術システムは何か」を尋ねたりもしました。すると、必ず出てくる名前がありました――それがクラヴマガです。


クラヴマガに出会う


クラヴマガは、護身術を習う方法の中でも最も実践的なものの一つです。イスラエルで開発され、今では世界中で実践されています。伝統的な武道のように競技、儀式、美しさを重視するのではなく、ただ一つ――現実の攻撃から生き延びること――を目的としています。


クラヴマガに魅力を感じたのは、その実用性でした。技はシンプルで直接的、しかもストレス下でも使えるように設計されています。若いか年配か、大柄か小柄かは関係なく、誰でも学ぶことができます。


私は東京と横浜で活動しているクラヴマガグローバル・ジャパンを見つけました。ウェブサイトにはクラス、レベル、理念について詳しく書かれており、数回メールでやり取りをした後、中目黒道場での無料体験レッスンに申し込みました。


その体験クラスが、挑戦的でありながらやりがいのある4か月間の旅の始まりとなったのです。


無料体験レッスン


初めて道場に足を踏み入れたとき、私はとても緊張していました。道場はシンプルで、床一面にマットが敷かれ、隅にはサンドバッグが吊るされ、壁際にはミットや防具が整然と並んでいました。華やかな装飾はなく、目的のために集中できる雰囲気に満ちていました。


クラスはウォームアップから始まりました。ランニング、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ストレッチ。終わる頃には心臓は激しく鼓動し、汗で全身びっしょりになっていました。正直、このセッションを最後までやり切れるのか不安になりました。しかし、水を一口飲んでから「もう少し頑張ろう」と決意しました。


次は打撃練習でした。人生で初めてミットにパンチを打ち込んだ瞬間、衝撃と音、腕に伝わる反動にアドレナリンが駆け巡りました。すぐに夢中になりました。


インストラクターはファイティングスタンスを紹介しました。足を肩幅に開き、膝を軽く曲げ、体重をバランスよく保ち、両手を顔の前に構える。最初はぎこちなく不自然に感じましたが、その意味はすぐに理解できました。この構えこそがクラヴマガの基盤であり、素早く動き、効果的に防御し、力強く打撃するための姿勢なのです。


構えを維持しながら移動し、ステップとパンチを組み合わせる練習をしました。手と足を同時に連動させるのは想像以上に難しく、最初はとても不器用に感じましたが、少しずつリズムを掴めるようになっていきました。


初めての防御体験


打撃練習の後、インストラクターは「360度ディフェンス」を紹介しました。これは本能的な腕の動きを使って、あらゆる角度からの攻撃をはじき返す方法です。肘を約90度に曲げて構えることで、さまざまな回し打ちの攻撃をシンプルかつ効果的に防ぐことができます。


最初は本当に役立つのか半信半疑でした。しかし、パートナーとわずか10分ほど練習しただけで、その効果に驚きました。不意の角度から攻撃されても、自然と腕が動いて打撃を防げたのです。


その後、ナイフの突きに対するこのテクニックの応用に入ると、緊張感は一気に高まりました。ナイフはプラスチック製のダミーナイフでしたが、迫力は本物でした。インストラクターがナイフの突きをブロックし、前に飛び込み、反撃を次々と繰り出す姿を見て「いつか自分もあのように動けるようになりたい」と強く思いました。


クラスの最後は3人組でのストレスドリルでした。1人がミットを打ち、もう1人が突然ナイフで襲いかかる。混乱し、体力を消耗し、圧倒される状況でしたが、それだけに現実的でもありました。


クラスが終わる頃には体は疲れ果てていましたが、心は興奮していました。道場を出るとき、心にあったのはただ一つ――「これからも続けたい」という決意でした。


護身術の生徒がパンチを防ぐ


クラヴマガ最初の1か月:生徒としての始まり


体験クラスの後、私は正式にクラヴマガグローバル・ジャパンに入会し、週2回(月曜の夜と土曜の朝)のトレーニングに取り組むことを決意しました。


道場はすぐに私にとって楽しみな場所となりました。クラスは通常10〜15人、多いときもあれば少ないときもありましたが、人数が少ない方がインストラクターから直接指導を受けやすく、ありがたかったです。雰囲気はとても良く、周りがサポートしてくれる環境で、参加者の多くは日本人でしたが、外国人も数名いました。


クラスの内容と流れ


各クラスには、私がすぐに気に入った一連の流れがありました。


  • ウォームアップとコンディショニング ― 有酸素運動、モビリティ、ストレッチ、筋力トレーニング

  • 打撃練習 ― パンチ、キック、エルボー(肘打ち)、ニー(膝蹴り)

  • 護身術シナリオ ― インストラクターによるデモンストレーションの後、パートナーと一緒に練習

  • 最終ドリル ― ストレスやスピード、不意打ちを加えて現実に近い状況をシミュレーション


このリズムは、毎回のトレーニングに安心感と同時に新しい挑戦を与えてくれました。


護身術を習うステップ・バイ・ステップ


私はその指導法がとても気に入りました。新しい技はいつも段階的に分解され、まず手の動き、次に体の動き、そのあとフットワーク、続いてカウンターアタック、そして最後にスピードと強度を加えていきます。


この段階的な積み上げは初心者の私に大いに役立ちました。迷うことなく、一つひとつの要素が少しずつつながっていくのを実感でき、最終的には技全体の意味がしっかり腑に落ちました。


正しいこぶしの作り方を学ぶ


最初に習ったレッスンのひとつは、一見すると些細に思えるものでした――正しいこぶしの作り方です。私はずっと「手を握って振ればいい」と思っていましたが、すぐにそれが大きな間違いだと気づきました。正しいやり方と間違ったやり方の差は、戦いから無傷で帰れるか、自分の手を骨折するかの違いになり得るのです。


インストラクターは、間違ったナックル(指の付け根の関節)で打ったり、手首の角度がずれていたりすると、簡単に大怪我をする可能性があると説明しました。ボクシングのようにグローブやバンテージを使うわけではない現実の場面では、素手で全ての衝撃を受け止めなければなりませんので、これは重要です。


私たちは正しく手を握る練習をしました。親指を外にして4本の指をしっかり収め、人差し指と中指の二つの大きなナックルで打つように学びました。この方法が、手の中で最も強く衝撃を吸収するのに適しています。小指側のナックルは脆く、怪我をしやすいのです。


こぶしでの打撃と並行して、オープンハンドでの打撃(掌底打ち)も練習しました。最初は「パンチより軽いもの」のように感じました。しかし、掌底打ちは手にかかる負担が少ないので拳で打つより骨折などの怪我がしにくく、高ストレス下で技が乱れがちな状況でも、強い打撃を与えながら自分の手を守ることができる、と言うインストラクターの説明を聞いて納得しました。


これは私にとって大きな発見でした。確かに、強いパンチが打てたとしても、手を骨折してしまっては、その後はパンチも防御もできなくなってしまうので、自分を守る戦いを続けることは難しくなります。護身術は相手の攻撃を防御し、攻撃を止めさせるために必要な戦いをする、ということだけでなく、防具の無い戦いで最後まで戦えるように、自分の体へのリスクを最小限にして技を使うことも大切だと初めて理解したのです。


よくある攻撃への防御


もうひとつの目から鱗のレッスンは、シャツを掴まれたときの防御でした。最初、私は本能的に掴んでいる手に意識を向けました。しかしインストラクターは「本当の危険はもう一方の手にある。殴る、叩く、あるいは武器を持つ可能性があるのはそちらだ」とはっきりと言いました。


正しい反応は、素早く両手を上げて顔を守り、可能であれば言葉で状況を落ち着かせること。それが通じなければ、強く打撃して拘束を振りほどき、距離を取ることでした。

最初の1か月が終わる頃には、次のような攻撃に対する防御も学んでいました:


  • 正面からの首絞め

  • 顔へのストレートパンチ

  • 基本的なナイフ突き

  • 股間へのキック


毎回のクラスは体力的には疲れましたが、精神的には大きなエネルギーを得られました。人生で初めて「自分には身を守るための実践的な手段がある」と感じられたのです。


護身術を学ぶ2〜3か月目:スキルと自信を築く


週を重ねるごとに、トレーニングはより激しく、多様で、そして現実的になっていきました。


あらゆる方向への打撃を広げる


私はあらゆる方向――前方、側方、後方――への打撃を学びました。パンチだけでなく、エルボー、ハンマーフィスト、キック、ニーも使い分けます。これらの技は驚くほど実践的で効果的に感じられました。派手な武道の動きとは違い、クラヴマガの打撃はシンプルで鋭く、素早く戦いを終わらせることを目的としています。


エルボー(肘打ち)は私が気に入った技のひとつです。相手との距離が近いとパンチが効果的に打ちにくい場面がありますが、エルボーは力強く自然に繰り出せます。ニー(膝蹴り)も同じく強力で、特に股間や腹部といった急所を狙うと大きなダメージを与えられると実感しました。


ヘイメーカーパンチを止める方法を学ぶ


特に重要なレッスンのひとつは、ヘイメーカーパンチへの防御でした。


ヘイメーカーパンチとは、振りかぶった拳で大きく弧を描き相手の顔を狙う強力なパンチです。


インストラクターは、この大きく振り回すパンチは、自然で力強く感じられるため、ストリートファイトでは非常に一般的で「ほとんどの喧嘩はヘイメーカーパンチから始まる」と説明しました。その一言だけで、私は真剣に耳を傾けました。


私たちは反射的に反応する練習をしました。腕を高く上げて振りを受け止め、前に踏み込みながら動きを止め、同時に膝蹴りや股間へのキックで即座に反撃するのです。最初は攻撃に向かって突っ込むのが不自然に感じましたが、練習を重ねるうちにその効果を実感しました。後退してもう一発をもらうリスクを負うよりも、力が出る前に攻撃を封じ込める方がずっと安全なのです。


このドリルは強く印象に残りました。現実で直面する可能性が高い、そして危険な攻撃のひとつに対応できる自信を与えてくれたのです。


背後からの攻撃に対処する


私たちは、背後からの攻撃――リアチョーク(後ろからの首絞め)やヘッドロックなど――への防御も学びました。これらの攻撃は特に首への圧力が強く、呼吸が苦しくなり、瞬時にパニックを引き起こします。こうした状況では「次に何をすべきか」を考えることが非常に困難になるため、体が本能的に反応できるよう反射的な対応を身につけることが重要です。


私はすぐにこれこそがポイントだと理解しました。現実の攻撃は予告も準備の時間も与えてくれません。背後から掴まれる恐怖の瞬間には、選択肢を考えている余裕はないのです。クラヴマガは、この「思考の停止状態」を完全に乗り越える方法を教えてくれました。繰り返しのドリルを通じて、私は自然に反応できるようになりました――気道を守り、スペースを作り、相手に体を向けて強く反撃し、そして逃げるのです。


最初のグラウンドファイトのレッスン


もうひとつの大きな節目は、グラウンドファイトの基本を学んだことでした。


私たちは安全に倒れる方法、地面にいる状態で自分を守る方法、そして何よりも、無防備にならずに素早く立ち上がる方法を練習しました。それまで私は「倒されたときに何が起きるか」について深く考えたことがありませんでした。しかし、実際に横たわってみると、どれほど無防備で危険にさらされているかを痛感し、だからこそ計画を持ち、いくつかの技術を身につけることがいかに重要かを理解しました。


クラヴマガはこうした状況を無視しません。目標は常に――生き延び、立ち上がり、そして逃げることなのです。


身体的・精神的な変化


3か月目になる頃、私は自分自身に本当の変化を感じ始めました。


身体的には、持久力が向上しました。ウォームアップを最後までやり切れるようになり、打撃はより鋭く、速く、重くなりました。以前はぎこちなかった動きや不器用な手足の連携も、週を重ねるごとに滑らかになっていきました。


精神的にも、より落ち着き、自信を持てるようになりました。道場の外でも立ち居振る舞いが変わったのを感じます。喧嘩を探しているわけではありませんが、もう恐れることもなくなりました。自分には身を守る手段があると知っているだけで、大きな安心感を得られたのです。


4か月目の挑戦:初めての昇級試験準備


4か月目になると、クラスで「昇級試験」という言葉をよく耳にするようになりました。先輩たちは数か月のトレーニングを積んだ初心者は、クラヴマガ・グローバルの最初の公式ランクであるプラクティショナー・レベル1(P1)テストを受けられるのだと説明してくれました。


「試験」を受けると思うと私は緊張しました。試験では、単に技を見せるだけではなく、持久力、戦術、そして心構えまでもが試されるそうです。インストラクターは「昇級試験は見ばえではない。重要なのは、ストレスや疲労、プレッシャーの中でも効果的に動き続けられることを証明することだ」と強調しました。


その考え方が私を奮い立たせました。毎回のクラスでさらに力を入れ、これまで学んだすべての技――打撃のコンビネーション、360度ディフェンス、首絞めや掴みに対する防御、ナイフ攻撃、そしてグラウンドでのエスケープ――を復習しました。準備万端で臨みたいと思ったのです。


グレーディング当日:P1の取得


グレーディングは7月に行われました。


テストは約2時間続きましたが、体感ではそれ以上に長く感じました。基本姿勢、打撃のコンビネーション、パンチや掴みに対する防御、ナイフ防御、グラウンドテクニック、そして複数のストレスドリル――すべてを一通り行いました。


半分を過ぎた頃にはすでに限界寸前でした。腕も脚も重く、肺は苦しく、シャツは汗でびっしょり。試されているのはまさに「体が諦めたがっている時に戦い続けられるかどうか」でした。


そしてついに終わったとき、私は疲れ果てていましたが誇らしい気持ちでいっぱいでした。私は合格しました。正式にプラクティショナー・レベル1(P1)の認定を得ました。合格証を手にした瞬間、それは本当の節目に思えました――自分が始めたことをやり遂げた証を手に入れました。


結論:長い旅の最初の一歩


振り返ってみると、その変化は本当に驚くべきものでした。


ウォームアップすらやり切れなかった自分が、今では一般的な攻撃に対応し、力強い打撃を繰り出し、ストレス下でも冷静さを保てるようになりました。学んだのは肉体的なスキルだけでなく、精神的な強さでもありました。


もちろん、これはまだ始まりにすぎません。P1に合格したことは、これからの長い旅の最初の一歩です。さらなるレベルを目指し、トレーニングを続け、技術と自信の両方を伸ばしていきたいと思っています。


そして何より、日常生活の中で自分が変わったと感じます。かつて感じていた無力感は安心感に置き換わり、背筋を伸ばして歩き、素早く反応できるようになり、かつてのような状況にもし再び対峙することがあっても、もう固まってしまうことはないと分かっています。


これから護身術を習うことを考えている人に、私が言えるのは――この旅を始めたことは、人生で最も価値ある選択のひとつだということです。


私は「無力な自分」でいたくないという理由でクラヴマガを始めました。4か月経った今、胸を張って言えます。あの体験クラスに足を踏み入れる前の自分とは、もう別人なのだと。


「最初の一歩が一番難しいのです。――でも一度クラスを体験すれば、自分がどれだけ成長できるかがすぐに分かるはずです。ぜひ無料体験に参加して、自信・体力・安全へとつながる旅を始めましょう。」



護身術を習う初心者へのヒント


護身術を習うことは、武道や格闘技の経験がない人にとっては特に、最初は自分の力量に余るように感じるかもしれません。けれども良いニュースがあります。何かを始める時は、誰もが同じ地点――ゼロの状態から始めるのです。ここでは、安心して始めるための実践的なヒントを紹介します。


  1. 動きやすい服装をする

    最初に必要な防具は、ファウルカップ(groin guard)とマウスピースくらいです。服装はフィットしたTシャツやスポーツ用のトレーニングパンツで十分。後日、自分の進歩を見ながら、シンガードやトレーニンググローブなど追加の防具に投資しても良いでしょう。


  2. 基礎に集中する

    複雑な動きを気にする前に、安定した構えの取り方、正しい打撃の仕方、そして360度ディフェンスのような基本的な防御を重点的に練習しましょう。これらのシンプルな技こそがすべての基盤となります。


  3. 技を急がない

    上級者を真似して速く動きたくなるのは自然ですが、コントロールのないスピードは悪い癖や怪我の原因になります。最初は正しいフォームと動きの理解に集中しましょう。スピードは時間とともに自然についてきます。


  4. 週1回でも継続して練習する

    上達は完璧さよりも継続にあります。週に1回の参加でも、続ければ大きな進歩につながります。


  5. 道場以外でも練習する

    自宅や公園でシャドーボクシングをしながら学んだことを復習しましょう。構え、基本打撃、防御動作を繰り返すことが大切です。


  6. 質問をする

    初心者が疑問を持つのは当然のことです。動きや状況が理解できない時は遠慮せず質問しましょう。その方が早く成長できます。


  7. 落ち着いて、オープンな気持ちで取り組む

    護身術は肉体的なテクニックだけでなく、意識や心構えが大切です。焦らず、自分の成長を楽しみましょう。小さな進歩が積み重なって大きな力になります。


  8. 昇級試験を受ける

    数か月トレーニングを積んだら、Pレベルの昇級試験に挑戦することを考えてみてください。テストに向けた準備は明確な目標を与え、テクニックの復習を促し、合格した時には大きな達成感を得られます。



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